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By ShureJapan |  Comment(s)

学校でのグループレコーディング

Microphones内にロナルド・カーンズにより投稿(2017年9月5日)

最初のステップ

グループのレコーディングの最初のステップは、プランニングと構成です。レコーディングが上手くいかないのは機材のせいではなくプランニングの不備とマイクの配置のせいだったというのはよくあること。リハーサルの一時間前に急にレコーディングしようと思い立ち、すぐにマイクを立てて録音のボタンを押す、などというわけにはいかないのです。マイクの配置を考えてセットアップし、その上で合計何本のマイクが必要になるかを決定する、といった明確な計画が必要です。

リハーサルの間にはノートを取り、金管楽器が木管楽器よりも強すぎたらこれを補強する、ベースやアルトよりもソプラノが多ければ彼らの立ち位置やマイクの配置を変える、コンクリートタイルの壁やタイルの床の部屋ならばこれに合わせた補正(金管楽器やパーカッションが強くなりすぎるため)をする、といった調整を行います。事前に計画をしっかりすれば、このような問題の大半はマイクの配置により解決することができるのです。ライブバンド、オーケストラ、合唱などの場合は、複数のトラックをレコーディングする必要があるでしょう。そのような場合も、マイクの配置はとても重要となります。

レコーディングのプロセスをスムーズにするには、適したマイクを選ぶのが大切です。全体的にすべてのサウンドを拾うマイクもあれば、グループの特定のセクションだけをターゲットにしてレコーディングできるマイクもあります。大抵は学校の予算によってどのようなマイクを何本使えるかが決まるということも考慮しましょう。

マイクの配置

実際のパフォーマンス以外にライブレコーディングの質を決定づける最も大切な要素が、マイクの配置です。グループのサイズによりマイクの位置と距離は異なります。大型のグループ(コンサートバンド、オーケストラ、ギターアンサンブル、ジャズアンサンブル、大人数の合唱など)であれば、全体の音を捉えるためのマイク配置が求められます。いくつかのテストトラックの後に、異なる配置を試してみると良いでしょう。そして時にはアコースティックな響きを利用してグループの自然なミックスとバランスを捉えたり、時には目立ちにくい楽器のグループやセクションにマイクを直接向けて弱い音を引き立てたい時もあるでしょう。これはスイートスポットの活用とも呼ばれています。

大型グループのマイキング

大型グループの場合、ステレオマイクのペアをグループの頭上約150センチ、約180センチ後方に設置すると、全体の音を捉えることができます。ステレオペアを使用するときは、必ずマッチした(同じモデル)2本のマイクロホンを使用してください。不必要な環境音(咳やくしゃみなど)を避けるには、4.5メートル高のマイクスタンドを使用するのもよいでしょう。このレコーディングテクニックはORTF(フランス放送協会)テクニックをベースにしたもので、2本のマイクは良いステレオイメージを捉えるための耳となる、というアイディアです。

もちろんこれだけが大型グループのレコーディング方法ではありませんが、予算が限られる場合、最良の方法のひとつと言えるでしょう。別のレコーディング方法では3本のマイクが必要となり、これはデッカ・ツリーと呼ばれています。

デッカ・レコード社のレコーディングエンジニアたちが開発したデッカ・ツリー手法は、大型オーケストラのレコーディングに最適です。デッカ・ツリーではT型のマイクロホンスタンドを使用し、3本のカーディオイドマイク(指向性マイク)を使用し、一本を右に、一本を中央に、そして最後の一本を左に向けて配置します。大半のデッカ・ツリースタンドでは両端のマイクと中央のマイクの距離を調節することができます。

多くのアコースティック楽器の音は部屋中に拡散するため全体感のある良いミックス、つまりライブパフォーマンスで言うところの「アンビエンス」を捉えることができます。聴き手はまるでその場にいるかのような臨場感を感じられ、臨場感のあるサウンドを楽しめるというわけです。

リハーサルルームのセットアップでは、指揮台の後部から、頭上に設置します。講堂の場合、私はステレオペアブラケット付きの4.5メートルのマイクスタンドをステージ脇のフロアに置くか天井から吊り下げる手法を取っています。事前のプランニングは、グループの最適なセットアップにつながります。色々と試して、自分の耳で最高の音を確認しましょう。グループに広がってもらったり、小さくまとまってもらう、マイクロホンをステージ上で演台の後ろに置く、など試してみたりするといいでしょう。あなたの耳が、グループに最適な配置を教えてくれるはずです。

小型グループのマイキング

小グループの場合は、マイクロホンを音源に近づけた方が良いでしょう。グループのバランスがいいと、音響的なアンビエンスが得られるよう大型のアンサンブルセットアップ(デッカ・ツリー)を使用できます。そうでない場合、指向性マイクをセクションに向け、無指向性マイクで室内音を拾うと良いでしょう。

この場合、複数のトラックをレコーディングしてポストプロダクションでこれをミックスし、最適なサウンドに仕上げます。この手順は手間がかかるように聞こえるかもしれませんが、実際にはライブパフォーマンスで指揮者がしていることと全く同じです。唯一の違いは、私たちは調節可能なミックスボードでその作業を行うという点だけ。もっとクラリネットが欲しいなら、クラリネットのレベルを上げる。トランペットを抑えたいなら、ミックスで下げる、といった具合ですね。

マイクの配置が大切なのは、後で自分が調整するサウンドはすべてこのマイクから集められるという理由からです。2トラックのステレオレコーディングなら、あなたがまるで指揮者のように「ミックス」した音がそのままレコーディングされます。複数のマイクロホンなら、複数のトラックをレコーディングして、あとから電子的にこれを操作することになります。繰り返しになりますが、これは本当に指揮台で指揮者が行うこととを何の違いもないのです。

質の高いステレオレコーディングを実現する最良の方法の一つは、X/YテクニックとORFTの改訂版ともいえるミッドサイドレコーディングです。ミッドサイドマイクは広いエリアをカバーしますが、このミッドマイクを音源に向け、双方向マイクを側面からのサウンドを拾うように使用し、二つのマイクはできる限り近づけて配置します。このタイプのレコーディング方法では、ミキサーを使用して信号をデコードする必要があることに留意してください。部屋全体の音を拾いますが、もちろんマイクに最も近い音源の音がよく聞こえてライブ感が出るので、私のお気に入りの方法一つです。

レコーディングのプロセスは各ステップで時間をかけましょう。グループ、機材、パフォーマンス/レコーディング会場に合わせてすべてをカスタマイズし、プロダクションからポストプロダクションまで、すべてのプロセスに慣れ親しんでおくことが大切です。

ロナルド・カーンズ
ロナルド・カーンズはOxford University Press出版の「Recording Tips for Music Educators」の著者であり、過去にはバンド、ジャズ、オーケストラの指揮者も務め、現在はレコード・プロデューサーとして活躍しています。

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