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By ShureJapan |  Comment(s)

聖歌隊(合唱隊)のライブ音響PAのヒント-マイク&モニター

James Wasemにより2016年5月19日にEducationに投稿「これをいったいどうしろと?!」。これまで、長年に渡りすばらしい教会のボランティアに大勢出会ってきましたが、あらゆるノブやボタンがついているミックスコンソール、ステージから網目のように張り巡らされたケーブルを目にした直後にほぼ例外なく彼らが叫ぶ一言がこれです。質問というよりは不安にあふれた彼らの気持ちを正直に表していますよね。

聖歌隊のためにマイクをセットアップし、オーバーヘッドマイクロホンからのサウンドをPAするのは教会のサウンドシステムオペレーターにとって最も困難な課題の一つといえるでしょう。そこで、あなたが教会の技術者として経験こそ少ないけれど熱意のあるボランティアをトレーニングするとき、またはボランティアが一人でこの課題に立ち向かわなければならないというときなどに使っていただけるガイダンスを用意しました。

配置

オーバーヘッドまたはバウンダリーマイクを聖歌隊から離れた場所に1本配置する手法はよく見られます。しかしこれでは、聖歌隊の声よりもステージからの周辺のノイズの方が多く入る可能性が高まってしまいます。それにスピーカーが近くにある場合、ハウリングが起こりやすくなるという問題もあります。

聖歌隊のダイナミクスとステージ音量が適切に調整されている場合、次に考慮すべきはマイクロホンの物理的な位置です。マイクと聖歌隊との距離、そしてマイク同士の距離の両方がポイントとなってきます。

複数のオーバーヘッドマイクロホンを聖歌隊に
使用する場合は、特別なケースを除きその配置には基本的なルールを適用し、マイク同士の干渉が抑えられるようにしましょう。聖歌隊(または合唱隊)を正しくマイキングする基本的な手法は、3対1ルールです。

たとえばマイク1を、最も近い聖歌隊のメンバーから約90センチ離れたところに配置したとしましょう。

マイク2は、マイク1から2.7メートル(270センチ)離れたところに配置します。マイク3は、マイク2から2.7メートル(270センチ)離れたところに配置します。

数字で説明すると、1本目のマイクロホンと2本目のマイクロホンとの距離は、1本目のマイクロホンと音源との距離の3倍となります。(下図を参照してください)

 



大多数のサウンドエンジニアはマイクロホンを聖歌隊より少し高い部分で中央列に向けて配置します。これは聖歌隊のサイズや、物理的にどのように並んでいるのかによって異なります。マイクの位置を変えてみて、聖歌隊ディレクターと一緒にどの配置が一番自然な音に聴こえるかを確かめてください。

複数のマイクロホンを使用している場合の干渉

複数のマイクロホンの位置がお互いに近すぎると、2つの異なるミックスオーディオ信号の間で干渉が発生します。この干渉は、ミックスされたオーディオ信号の異なるタイミングと位相の結果として発生するものです。

2本のマイクロホンを近くに配置して単一のオーディオソースを使用してみるとよくわかります。このテストでは、シングルトーンまたは「ホワイトノイズ」を使用してください。

マイクの1本をもう1本から遠ざけたり近づけたりすると、ミックスされたオーディオコンテンツの「歪み」がはっきりと聞こえるはずです。この現象は、同一の信号が2本のマイクロホンが異なるタイミングと音量レベルで収音することで発生します。より近いマイクロホンの方が音量の高い信号を受け取り、遠い方のマイクロホンはその距離のため音量が低くわずかに遅れた信号を受け取るのがその理由です。

指向性とカートリッジタイプ

聖歌隊をレコーディングする場合は、無指向性またはカーディオイド極性パターンがお勧めです。ただし私個人の経験から言うと、ライブサウンドの場合はよりタイトな収音パターン、たとえばスーパーカーディオイドあるいはハイパーカーディオイドマイクロホンが良い選択です。狭まった収音パターンのマイクロホンはアンビエントサウンドをあまり拾わず、フィードバックを防ぐ効果が一段と高まります。

ダイナミックマイクロホンに対してコンデンサーマイクロホンの方が遠距離からの音を収音できるという点も考慮すると良いでしょう。ただし、コンデンサーマイクロホンにはバッテリーやミックスコンソールでファンタム電源が必要なことに注意してください。

Shure MX202のようなオーバーヘッドマイクも聖歌隊にはよく使用されます。多くの機種はスタンドマウントもできるため、希望する場所に配置できます。

余計なものは省く

  • 聖歌隊を収録する際に最もありがちな間違いは、使用するマイクロホンが多すぎることです。これには二つの理由があります。
  • 複数のマイクがお互いに近すぎればコムフィルタ(3対1ルールに従うこと)が発生してしまうから
  • 使用するマイクロホンチャンネルが多ければ多いほどフィードバックの可能性が高まるから

最小限の数のマイクロホンでもっともナチュラルかつ明瞭なサウンドを捉えるようにしましょう。

モニターは?

聖歌隊用のミックスモニターにも難点がいくつかあります。マイクの位置と聖歌隊の配置に応じてモニタースピーカーの位置を考慮する必要があります。

モニターからの音よりも聖歌隊の声自体を収音できるよう、聖歌隊モニターのミックスの全体的音量は抑えたほうが良いのが一般的です。また、聖歌隊の収音マイクと聖歌隊のモニターとをミックスするとフィードバックが発生するので、ご注意ください。

聖歌隊のミックスで重要なもうひとつの点は、聖歌隊の声をメインミックスに含めることです。聖歌隊の声が室内で補強なしにどのように聞こえるかを聴いてみましょう。小さめの空間や、音が良く響く環境の場合、声に対するPAは予定したよりも必要ない場合があります。

個人的には、サウンドチェックで聖歌隊が歌っている間に聖歌隊のマイクをミュートにしたりミュートをはずしたりして、室内の自然な音量レベルとラウドスピーカーを通した音とを比較するようにしています。また聖歌隊ディレクターや礼拝のリーダーは聖歌隊がどのように聞こえるべきかを理解しているため、彼らと協力して聖歌隊のミックスの微調整を行うのもいいでしょう。

恐れることはない

間違いを恐れてはいけません。間違いは学習の大切なプロセスです。そして学習に終わりはないのです。

その環境の中でとにかく自分のスキル向上に時間をかけることです。聖歌隊の練習の例で言えば、彼らの集会の邪魔にならない限り、しっかり時間をかけましょう。あなた自身の試行錯誤につき合わせるのではなく、あなたのベストな音作りを彼らに届けるのがあなたの仕事なのです。

 

James Wasem
若い頃からサウンドと電子機器に魅了されていたジェームス・ウェイセムは、その音楽や技術的機材に対する愛情から、サウンドエンジニアおよびシステムインテグレーションこそが自分の進む道だと早くから理解していました。ここ20年にわたり、彼はドラマーとしてバンドのツアーを回る他、教会、学校、劇場のライブサウンドのミックスを行っています。彼はまた、オーディオシステムデザイナーおよびGreat Church Soundの著者としても活躍しています。

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