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By ShureJapan |  Comment(s)

アコーディオンのマイキング、8つの方法

ダヴィダ・ロックマンにより2017年5月23日 にEducationに寄稿

アコーディオンのマイキングについて誰かに話を聞こうとすると、おそらくバグパイプについて話した時と同じような反応が返ってくるのではないでしょうか。あるいは、

「あんまり治安が良くない場所で、車の後ろの座席にアコーディオンを置いたまま、車を降りて店に入った人がいたんだって。車に戻ってきたら、窓が開けっぱなしだったことに気がついたんだ。焦って車に乗り込んで、後ろの座席をチェックしたら…アコーディオンが二つに増えてたんだって!」なんていう冗談を聞くこともあるでしょう(アコーディオンにまつわるジョークは山ほどあるのです)。

そんなジョークのネタにされがちなアコーディオンは、50年代から60年代にかけての黄金期を過ぎた後こそ、その人気に陰りがあったものの、実は最近またその存在感が高まっています。ジョン・レノンが初めて手にした楽器はアコーディオンだったそうですし、ブライアン・ジョーンズにとっての初めての楽器もアコーディオンだったという噂もあるほど。実際には、なぜここ最近アコーディオンのサウンドにまた注目が集まっているのかという理由は定かではありません。しかし、アーケイド・ファイヤー、ジョン・メレンキャンプ、ドロップキック・マーフィーズ、ザ・Eストリートバンド、その他多数のミュージシャンの作品を聴けば、アコーディオンが多用されているのは明白です。アコーディオンを使っているポピュラーな作品は他にもこちらでお聴きいただけます。

様々なアコーディオンのタイプ

アコーディオンの独特なサウンドの原理は、実は中国で紀元前3000年ごろに発明された笙(シェン)という木管楽器にまで遡ります。その後ヨーロッパの楽器メーカーたちは5,000年という時間をかけて、この自由に振動するリード(=フリーリード)という原理を採用し、ハーモニウム(ポンプ・オルガン)、ハーモニカ、アコーディオンといった楽器を19世紀に誕生させたのです。

現在のアコーディオンには3つのタイプがあります。

ピアノ・アコーディオン

アメリカではアコーディオンといえばこのタイプが一般的です。著名なプレイヤーにはクリフトン・シェニエ、フランク・ヤンコヴィック、デビッド・ヒダルゴなどがいます。右側はピアノタイプのキーボードで、左側にはベースサウンド用のボタンの列が並んでいます。フルサイズのアコーディオンだと鍵盤が41鍵、ボタンが120~140個にも上ります。

クロマチック・アコーディオン

これはヨーロッパで最も普及しているタイプです。右側(鍵盤)にも左側(ベース)にもボタンが並んでいます。ボタンの並び方はピアノ・アコーディオンのベースサウンド用のボタン配列と似ています。

ダイアトニックまたはメロディオン・アコーディオン

ボタンが両側にあり、キーのピッチは蛇腹の押し引きで変わります。

ザディコ、フォーク、ケルティック、ウェスタン、ロックで使われるアコーディオンはほとんどがピアノ・アコーディオンなので、ここではピアノ・アコーディオンについて話を進めたいと思います。

アコーディオンのマイキングにおける課題

拡声やレコーディングのためにピアノ・アコーディオンをマイキングするのは、プレイヤー自身はもちろん、多くのサウンドエンジニアにとっても簡単ではありません。その理由を挙げてみましょう。

  • 音が楽器の両側から出る。
  • 蛇腹の動きが必要、つまり楽器が常に動いている。
  • アコーディオンはあらゆる方向にあらゆる音が発せられる上、アコーディオンの表面自体も独特の音を生成する。
  • アコーディオンは音のピッチ以外にも様々な音(鍵盤を押す音、蛇腹から空気が押し出される音など)を発するため、マイクテクニックを選ぶ場合にこれも考慮する必要がある。

ただし、ベース・プレーヤーがいるバンドの場合、ピアノ・アコーディオンのベース側のボタンの音を捉えるのはあまり重要ではなくなるため、マイキングの複雑さが少し緩和されるのはメリットとなるでしょう。

アコーディオンのマイキングテクニックをテスト

アコーディオンに対するマイクの位置を変えるだけで、音色のバランスは大きく変わります。エキスパートたちは、アコーディオンから約30-60cm離れた場所にマイクを配置すると、アコーディオンの表面からの音が上手く混ざり合うことになるため、最も理想的であるとしています。

アコーディオンにマイクを近づけすぎると、マイクに一番近い表面部分の音が強調されるため、楽器全体のサウンドが捉えられない場合がほとんどだそうです。

そこでこの理論(その他いくつかの理論も)をテストしてみることにしました。

Shureの社員でありアコーディオン・プレーヤーでもあるクリス・フランツィアックが、様々なアコーディオンマイキングテクニックを試してくれました。使ってみたいマイクはすべて揃えてあります。KSM137カーディオイド・コンデンサー・マイク2本、MX185カーディオイド・コンデンサー・マイク、MX183無指向性マイク、誰もが知っているSM57カーディオイド・ダイナミック・マイク、そしてクリスのアコーディオンに内蔵されている小さなコンデンサーマイクです。

1.鍵盤側のフロアスタンドに設置したカーディオイド・コンデンサー・マイク

マイク:KSM137
位置:鍵盤側から約30 cm

2.蛇腹側のフロアスタンドに設置したカーディオイド・コンデンサー・マイク

マイク:KSM137
位置:蛇腹側から10-15 cm

3.鍵盤側と蛇腹側それぞれのフロアスタンドに設置したカーディオイド・コンデンサー・マイク

マイク:KSM137
位置:マイク1は鍵盤側から約30cm離し、マイク2は蛇腹側から10-15cm離して配置

4.フロアスタンドに設置したカーディオイド・ダイナミック・マイク

マイク:SM57
位置:グリルの中心から約45cm

5.蛇腹側のストラップにつけたクリップオン・カーディオイド・コンデンサー・マイク

マイク:MX185
位置:蛇腹側のショルダーストラップにクリップオン

6.鍵盤側のストラップにつけたクリップオン・カーディオイド・コンデンサー・マイク

マイク:MX185
位置:蛇腹側のショルダー・ストラップにクリップオン

7.グリルにテープで取り付けたクリップオン無指向性コンデンサー・マイク

マイク:MX183
位置:鍵盤側のグリルの中心にガムテープで取り付け

8.アコーディオン内蔵マイク

マイク:アコーディオン内部で均等(ボタン側と鍵盤側)に配置されたコンデンサー型マイク
位置:鍵盤側

セッション終了時、テストに立ち会った5人の意見は完全に一致とはいえないまでも、おおよその点で共通していました。

クリス自身は、ライブパフォーマンスには内蔵マイクを使うのが便利で最適だが、レコーディングならば、楽器の両側にマイクを立てるコンデンサー型マイク2本の使用が音の性質を最もよく捉えていて、最も理想的だろうという意見でした。そして私たち全員の意見が一致したのは、SM57が一番いい音を捉えていたということでした。

さあ、次はあなたがお試しになる番です。ご意見をぜひ聞かせてください!

ダヴィダ・ロックマン
1979年よりShureに入社したダヴィダ・ロックマンはスピーチコミュニケーションの学位を取得しており、マイクに向かって喋るのではなくマイクのマーケティングを行うという大学卒業後初の仕事が、そのまま生涯のキャリアとなるとは夢にも思っていなかったそう。現在、ダヴィダはコミュニケーションマネージャーとして、広報からソーシャルメディア、コンテンツ開発、スポンサーシップまで様々な活動を担当しています。

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