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By ShureJapan |  Comment(s)

NAIKA MC (2016年UMBチャンピオン) インタビュー

凹んでないぶん逆に握りにくかった

黙っていられないタイプだったからそこが自分の才能なのかなって思います

取材・文・写真: 伊藤大輔

国内MCバトル大会の最高峰、ULTIMATE MC BATTLE(以下UMB)2016で優勝を果たしたNAIKA MC。巧みな試合運びと熱いパワーで相手を競り負かすスタイルを持つ彼は、長年UMBの王座に挑戦しながらも、苦渋を舐め続けてきた。六度目となる挑戦で悲願のタイトルを勝ち取った姿は、昨年度のチャンピオンChico Carlitoとは対照的とも言える。すでにベテランMCとしてのキャリアを持つNAIKAに、自身のMCスタイルからUMBについて、さらにはSHUREのマイクについても聞いた。

【NAIKA MCとは?】
群馬出身。19歳の頃にマイクを握りはじめる。2007年に地元の仲間とともにラップ・グループ、夜行性POSSEを結成し、アルバムを発表。2013年には自身にとって初のソロ・アルバム『THE TALK MAN SHOW』をリリース。バトルMCとしては試合巧者として評価が高く、さまざまな大会で成績を残しており、UMB 2016では念願のチャンピオンに輝く。

●ヒップホップを聴き始めたのはいつ頃ですか?
○16歳くらいの頃ですね。最初は地元にあるショップで、歌やバンド以外の音楽が流れているなと思ったのがきっかけでした。一番最初に反応したのはレゲエでしたが、そこから派生してブッダブランドやキングギドラなど、90年代の日本語ラップを聴きはじめました。ちょうど高校生の頃に日本のヒップホップのバブル期を体験した世代なので、自然と聴くようになりました。

●ラップをするようになった経緯について教えてください。
○僕が育った群馬は遊ぶ場所があまりなくて、よくカラオケに行ってたんです。そこでMISIAさんの「陽のあたる場所」のリズムに合わせてフリースタイルっぽいラップのまねごとをやったら、友達にウケたんです。その頃はヒップホップマナーも全然知らなかったので、呼び込みのお兄ちゃんみたいな感じだったと思います。こちらとしては笑わせてやろう思ってやったら、回りがなんだか納得してしまったみたいな(笑)。で、その話を聞いた洋服のショップの人から“フリースタイルできるやつがいるって聞いたんだけど、今度クラブでパーティーやるから出てみない?”って誘われて、それからラップをはじめました。

●フリースタイルが出発点だったんですね。
○今思えば、運が良かったというか。回りに引っ張られながらはじめました。クラブに出ることになってからはフリースタイルだけじゃなくて、リリックも書きはじめたんですが、僕は特に社会に不満があったわけでも、警察官が嫌いでもなかったので、最初に書いたリリックは曲の8割くらいが“手をあげろ”しか言ってなかったです(笑)。最初に認められたのがフリースタイルだったこともあって、ライブでもフリースタイルに頼っていました。なので、ちゃんとリリックを書いてライブをする人たちを見て勉強するようになり、ようやく自分の身の丈を知ったというか。一時は”これは無理だな”と思っていて、ちょうど就職も重なったので、そろそろラップはやめようと思っていました。そんな矢先にB-BOY PARK 2002で般若さんと漢さんのMCバトルを観て、雷に打たれてしまったんです。やってみたいけどビビりもあって、バトルに出場せずにいたら、今度は後輩が仕掛けてくるようになって。“先輩フリースタイルできるらしいすけど、戦えるんすか?”って。

●そこからMCバトルの道をすすんでいくわけですが、苦労はありましたか?
○今、話した後輩と対戦したはじめてのバトルでは、叩きのめされました。それからあいつはフリースタイルはできるけど、バトルはできないって言われて、それが悔しくて奮起したんです。僕は間が空くのが嫌なので、ビートに対して言葉を詰めていくスタイルなんです。世の中的にはMCバトルは韻を踏んでなんぼでしょっていう風流があるのに、僕は韻を意識すると言葉に詰まるというか、持ち前のフリースタイルができなくなってしまう。フリースタイルで韻を踏むのって、サッカーのリフティングに似ていて、1回や2回くらいなら誰でもボールを落とさずにできるけど、5回、10回……ってなったら相当練習しないできないじゃないですか? 僕の場合、ボールを落とさないためには、こうしたらいけるんじゃないかっていうスタイルだから、バトルをはじめた頃はよく“お前のはフリースタイルじゃなくて、ただの会話だ”って言われました。それにはいまだにコンプレックスがあります。

●その後、自身のバトルのスタイルに試行錯誤はありましたか?
○ありましたね。でも、韻を踏めないことに対しては開き直って、そのかわりに滑らないようにしようと。それで、はじめて出場した地元のローカルなバトルで、たまたま決勝までいったんです。そのときの対戦相手がのちにUMBでチャンピオンを獲るカルデラビスタで、彼の巧みなスタイルを目の辺りにして、オレも自分の良さが出せる範囲内であれば、踏めるところで韻を踏もうというのと、あとは言い負けないようにしようって思ったんです。で、2005年にカルデラビスタがUMBでチャンピオンになったのを観て、これは夢があるなと。そこから積極的にいろんな草バトルに出るようになって、“言い負けないスタイル”で優勝できて、それが自信につながっていきました。

●言い負けないスタイル、と言うと?
○やっぱり対戦する相手は、僕の韻を踏まないことへの批判が多いわけですよ。そう言われたときに、どうやって負けないようにするか。物は言いようというか、韻を巧く踏めるMCが相手なら、オレはもっと面白いこと言ってやろうとか。相手の韻をバラしていくような言葉を使ったりもします。

●韻をバラす?
○韻って即興でも完璧に踏める人もたまにいますが、思いもしないようなすごいダサイ言葉が出てきたりすることもあって。そういうときは“ああ~、韻に踏まれちゃったね”みたいに返します。だから、僕のようなスタイルは後攻からはじまるほうが良くて。言ってしまえば、先攻をとらせて相手の様子を伺って、そこから揚げ足取りをする嫌なヤツになり切るというか(笑)。でも、最近は先攻でも行けるようになりました。後攻なら受けからはじめて言い負けないようにするけど、先攻ならハナから言いくるめるようにしたり、煽ってプレッシャーをかけて、相手が失敗した隙を突く……僕のスタイルはこういう話術が中心ですね。もちろん僕も韻を踏むスタイルがカッコイイと思うし、それが常に主流であってほしい。でも、だからこそ僕のような我流の存在がいても面白いわけで、そうやって韻が踏めないことへの批判をバネにしながら、試行錯誤をしていました。言うならば、僕はピッチャーならストレートで三振を取るんじゃなくて、打たせながら負かしていくタイプですね(笑)。

●6度目のUMBで念願のタイトルを手にしたわけですが、予選も含めると2006年から出場しています。UMBには特別な思い入れがありましたか?
○さっき話したUMB 2005の話になるんですが、決勝がカルデラビスタと漢さんの試合だったんです。当時はまだ無名だったカルデラビスタが人気も実力もある漢さんに勝って、すべてをひっくり返したようにも見えたんですよね。それにUMBはお客さんによるジャッジだから逃げ場もないし、この大会でチャンピオンになったら一番カッコイイだろうって思ったんです。ラッパーにとってはいつかアルバムを出して武道館でライブをやるとかよりも、UMBで優勝することが一番身近でリアリティのある夢というか。だから、何がなんでもタイトルが欲しいと思っていた大会でした。

●2016年のUMBに臨むにあたって、スキルを磨き直したりはしましたか?
○いやまったくしていません。むしろ今まで一番気持ちを入れなかったんです。というのも、UMB 2016には当初、出ないでおこうと思っていたくらいでした。なぜならUMB 2015で負けたときに、燃え尽きてしまったんです。R-指定がUMBから退いて、ようやくタイトルが狙えるぞって気持ちが先走りし、空回りして負けた自分に嫌気が差してしまって。それに群馬の予選でも“どうせまたNAIKAでしょ?”っていう雰囲気もあったし、すでにベテランの域に達していたから、ここらが身を引くタイミングなのかなって思っていて。でも、知人に“辞めるにしても、戦って終わりにしないと勝ち逃げになるからよくない”って言われて。だから、負けたらそこで引退するつもりで参戦しました。そのせいで全然練習もしなかったですし、むしろ散り際を考えていたくらいでした。

●UMB 2016のエピソードを教えてください。
○散り際を考えてながらも、いざくじ引きが始まると緊張しました。僕が引いた番号が48番だったのですが、”最後の番号だし、もしかしたらいけるかも”って思っていたら、対戦相手になる47番を引いたのがDOTAMAであることを知って、“はい、終わった”って(笑)。フリースタイルダンジョンでも僕はDOTAMAに負けていたから“(散り際は)ここだ!”って思って、それでふと肩の荷が下りたんです。で、彼と対戦しているときに、この前はなんで負けたのかを考えていて、それはたぶん彼のことを自分よりも格上だと思っていたからだと分かったんです。だから引きずり下ろそうというよりも、“お前はいいなぁ”って相手を褒めるキャラで行こうと。そこからはもう運が良かったというか、延長戦でDOTAMAに勝てて。で、DOTAMAが負けたんだから、あとはNAIKA頼むよってなるわけで、お客さんもそういう雰囲気で観てくれたのかなって。で、ヤングたかじん(呂布カルマ)との決勝戦は、緊張しましたけど、お互いに知っている仲だったっていうのも戦いやすかったと思います。

UMB GRAND CHAMPIONSHIP 2016にて – vs DOTAMA

●バトルを見ていると主導権をぐっと引き寄せられるのが、NAIKAさんの持ち味にも感じます。バトルの途中でスイッチが入るときはありますか? あるとしたら、それはどんなときですか?
○やっぱりイラっとすることを言われたときの怒りですね。ギャグに走るよりも怒りが原動力になったほうが、一番自然な感じがします。僕はSNSもあんまりやらないので、回りから自分がどうやって見られているか分からなくて、特に2015年は面白いことを言ったりギャグの方面に行き過ぎて、迷走していた時期もありました。でも、フリースタイルダンジョンに出演したときに、いろんな人から意見をもらって、やっぱりお客さんはガチンコで戦う姿を観たいんだってことが分かって、ようやく自分の俯瞰的に観ることができたんです。UMB 2016はリラックスしていたけど、ガチで戦おうとは思っていました。

UMB GRAND CHAMPIONSHIP 2016にて – vs ヤングたかじん(呂布カルマ)

●UMB 2016に勝てた要因は何だと思いますか?
○優勝して分かったのは、いろんなものを背負って臨むと、勝てないってことですね。もちろん人によっても考え方は違いますが、僕にはそう感じました。勝てたのは、勝ちへの執念がなかったのと、散り際を考えていたから(笑)。もちろんUMB 2016はきつかったけど、歯を食いしばって頑張ったっていう感じはなかったです。あと、今のところ来年のUMBには出ないつもりです。これはUMBに出ているラッパーはみんな言うことですが、UMBってプロ野球でいったら日本シリーズみたいなもので、賭けているものが大きいぶん、負けたときのダメージも大きいんです。UMBは年末にあるので、そこで負けて凹んだ状態で年を越して、正月は毎年暗い気持ちでヤケ酒して……これってけっこう辛いんです。でも、今年は優勝したおかげで、一生忘れられない最高の正月を過ごせました。

●マイクについて意識したのはいつ頃でしたか?
○10年くらい前ですね。きっかけはお客さんも盛り上がって自分的にも良いライブができたと思ったときに、友達に“盛り上がってはいたけど、何を言っているか全然聴き取れなかった”って言われたことがあって。そこから言っていることが伝わるようにしたいと思うようになって、マイクのことを意識するようになりました。

●SHUREのマイクを使うようになったのは?
○とあるクラブに数本のマイクが置いてあって、“好きなやつを使っていいよ”って言われたので、全部試してみたんです。そうしたらSHUREのSM58が一番自分の声にしっくりきて、自分で買って使うようになりました。正直に言うと、それまでの数年間はSHUREのマイクって、グリルがボコボコになっているのが当たり前だと思っていて、新品のSM58を見たときに“本当は丸い形だったんだ”って、はじめて知りました(笑)。最初はグリルが凹んでないぶん、逆に握りにくかったです。

●いろんなマイクがあるなかで、SHUREを選んだのは?
○今言った声の乗りが良かったっていうのもありますし、あとはクラブってライブハウスよりもハコのシステムの影響が大きいと思うんです。“ウチはこのマイクじゃないと”みたいな。で、やっぱりどこのクラブにいっても大抵はSHUREのマイクが置いてあるから、持ち込むにしてもSHUREだったら間違いないだろうっていう。去年Chico(Carlito)もインタビューで言ってましたけど、“当たり前のようにどこにでもあるってすごくないですか?”って、ホントにその通りだなって思います。

●マイクの持ち方で気をつけているポイントはありますか?
○最初はカタチから入りました。ラッパーは“グリルを囲って持つものだ”って感じで。でも、以前に地元のPAさんからも、僕の声は低音が強いから、(グリルに)かぶせちゃうとトラックに声が埋もれやすいって指摘されて、それからはグリルにかぶせないで持つようになりました。そのほうが自分の声もモニターしやすいんですよね。

●ご自身でラッパーとしての才能はどこにあると思いますか?
○UMB 2016で優勝したことをおばあちゃんに報告しにいったら、ポロっと“あんたは昔から独り言が多かったもんなぁ”って言葉を口にしたんです。子供の頃から姿は見えなくても常にしゃべっていたから、どこにいるか分かったみたいで(笑)。黙っていられないタイプだったから、たぶんラップに向いていたんだろうなというか。そこが自分の才能なのかなって思います。

●長年バトルMCとしての経験を積んできて、見えてきたものはありますか?
○うーん、まだ模索中ですね。チャンピオンになって見えてきた景色っていうのも、山をひとつ越えたら、もっと大きな山が見えてきたというか……ありきたりな表現ですけど、本当にそう思っていて。それにバトルをやるほど、それだけじゃダメというか、もっとライブをやらないとって思うようになりました。今、MCバトルは人気もあるから勝てば名は売れるけど、負けたら8小節2本で終わりだし、残りにくいものでもあって、その辺は難しいところですよね。バトルとリリックを書くのでは使っている脳の部分違いますし。でも、リリックだけ書いてフリースタイルをやらなくなったら、今度は口が回らなくなってしまいそうで怖いですし。もちろんバトルMCを辞める気はないので、今後はバトルもリリックを書くほうも、もっと力を入れてやっていきたいと思っています。

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ULTIMATE MC BATTLE ® 2017 THE CHOICE IS YOURS Supported by avex music publishing @Zepp Tokyo日時:3月27日(月) OPEN15:00 / START16:00場所:Zepp Tokyo
www.zepp.co.jp/tokyo
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DJ’s: dj honda / DJ WATARAI / MR.BEATS aka DJ CELORY / DJ SOUMA / YOKE a.k.a DJ REDBLOOD / DJ 8MAN / DJ COBA / DJ TIGU / CH.0

MC’S: Kascade / MC☆ニガリa.k.a赤い稲妻 / BUCHI / LEON / MOL53 / DISY / G-ROD / MAD ASH / DEPFROG / Quark / Smill / SAM / LOWCH / miniRA / BOBO / Authority / JAKE / ウジミツ / JOE / TOTOROW / R.O.G / Strider /ムートン / KOKI / MAC-T / KARASS / Kowree / しぇん / KOOPA / ヤングたかじん / Disry / Kai-Tone / 黄猿 / じょう/ rack / SONNY / 雄猿 / NAIKA MC / 句潤 / parmlight / 要 / BOZ / Siva / ロープ / MAVEL / BASE / ふぁんく / DOTAMA

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