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By ShureJapan |  Comment(s)

山内総一郎、金澤ダイスケ(フジファブリック)SRH1540インタビュー

疾走感のあるポップ・ナンバーを聴かせるバンド、フジファブリック。
音に対して並々ならぬこだわりを持つ彼らが、絶大な信頼を置くのがSRH1540だ。
同製品のサウンドや音楽制作の上でのメリットを中心に、ミュージシャンならではの視点で山内総一郎(vo,g)と金澤ダイスケ(k)に語ってもらった。

 

取材・文・写真 / 伊藤大輔


ーーSRH1540を知った経緯は?

山内 エンジニア/プロデューサーの美島豊明さんにアレンジをお願いしたことがあって、SRH1540とSHUREのオープンタイプのヘッドホンを使われていたんです。“これすごくいいよ”ってオススメされたので、ミックスのチェックのときに聴かせてもらったら、本当にすごく良くて。で、外でも使いたいからSRH1540がいいなと。

金澤 もうすぐに、“買います!”ってなりました。

ーーはじめてSRH1540で聴いたときの印象を教えてください。

金澤 レンジの広さと奥行きですね。ヘッドホンが好きでいくつか持っていたのですが、もっと解像度が高くて中低域がしっかりしたモデルを探していたんです。

山内 僕もミックスでもマスタリングでも使いやすいヘッドホンはないかなって。SRH1540はローエンドとハイエンドの伸びが自然というかあつかましくないんです。だからずっと聴いていられる。そこが一番ビックリしました。

金澤 ハイエンドが伸びすぎていたり、意図的に強調したヘッドホンってあるじゃないですか?そういうモデルってわざとらしいく感じてしまうんですが、SRH1540はナチュラルで痛いところがなく、素直に出てくれるのが良かったです。

ーー最初にリスニングのテストをしたときはミックスのチェックで使ったのですか?

山内 加えて、自分たちの過去の音源、あとは美島さんが手掛けたコーネリアスの音源なども聴きました。

金澤 あと、iPhoneに入っているお気に入りのアルバムなんかも。

山内 いろんな音源を聴きながら、これは中低域が“分かるね”って思いました。よく“ローが伸びる”って謳っているヘッドホンって、ロー感はあってもピッチ感が分かりずらかったり、細かい音符がヌケてこなかったりして。例えばベースに関して言うと、フェンダーのプレシジョン・ベースで弾いたべースラインはしっかり聴こえても、同じフェンダーのジャズベースだと聴こえづらいってことがあったり。でも、SRH1540はローが伸びるのにどんなベースのプレイでも分かりやすくて、バスドラムとベースの帯域の違いも見えるんです。

金澤 最近の音楽の作り方って、中低域を基盤にいろんな音をのっけていく感じが多いと思っていて。SRH1540はその帯域がしっかり見えるという意味でも、今の音楽制作に適していますね。

ーーでは、SRH1540を使うシチュエーションは音楽制作が多いですか?

金澤 制作以外にも音楽を聴いたりするときも、全部です。

山内 家で曲を作るときや音楽を聴くとき、あと歌の練習でも使っています。例えばボーカルの歯擦音のニュアンスは、高域再生力が優れたヘッドホンでないと聴き取れないのですが、そのあたりもSRH1540はあつかましくなく、ちゃんと聴こえてくるので、歌の練習にもピッタリなんです。あとはマスタリング後の音源やアナログのプレスマスターのチェックにも使います。コンプレッション感もすごく分かりやすいんですよね。

金澤 あと、空気感がしっかりと出ますね。それと普通はヘッドホンだと表現できない、スピーカーで音量を上げたときに出てくる中低域のニュアンスがあるのですが、SRH1540はそれが小さい音量で見える。出力の特性カーブというかバランスが良いんですよね。

ーーSRH1540は筐体内部の共鳴を抑制することで、音量が変わっても特性の違いを抑えていますが、そのあたりがそう感じる理由かもしれませんね。

金澤 その通りだと思います。

山内 曲を作ったりミックスをしているときって、ずっと音を聴いているから、音量を上げないとバランス良く聴こえないヘッドホンだと耳が疲れるし、高域が痛く感じてしまう。でも、SRH1540は小さい音量でもそこがクリアできているから助かります。美島さんに“これ一台あればミックスできる”って勧められたときは、“うそだ”って思ったんですが、使ってみると美島さんがおっしゃっていたことがよく分かりました。

金澤 僕はこれまで、レコーディングのときのヘッドホンでモニターするときは、キューボックスで高域をカットしていました。まだ実際に録音でSRH1540を使う機会がないのですが、これならカットしなくても大丈夫だと思っています。

ーー装着感はどうですか? フィット感とか。

金澤 すごくいいですね。僕はよくヘッドホンは付けていると耳が痛くなってしまうのですが、SRH1540はイヤパッドがフカフカしていてるので大丈夫です。

山内 僕はこれまで作業中に、どうしてもイヤパッドのせいで耳が痛くなってしまうことが多くて。そのたびにヘッドホンを替えながら、曲を作っていましたが、これを使うようになってからはそういうことも無くなりました。それと、さっきダイちゃん(金澤ダイスケ)が言っていた定番のモニターヘッドホンって中高域が見えやすいんですが、SRH1540の音を聴いてからだと、少しあつかましく聴こえてしまうんですよね。

金澤 たぶんそれって、昔から続く日本のレコーディング文化の名残というか……。音楽の中心が中高域によっていたから、ああいうヘッドホンが定番とされていたと思うんです。でも、今は時代も変わって、中低域が主体の音作りをするようになっているから、SRH1540が定番のモニターヘッドホンになったらいいのになって思います。

山内 録音機材が進化してサウンドのレンジ感も広がっているのに、ヘッドホンだけ昔からあるものを使い続けるのってどうなのかな?って思いますね。なぜならSRH1540のようなヘッドホンのほうが、もっと音楽的に聴こえるんです。例えばエレキギターの音を聴くにしたって、ギターアンプに耳を近づけて音色を聴くわけじゃなくて、アンプが鳴っている部屋の響きを含めて、もっと“音楽的”に聴くわけじゃないですか。SRH1540にはそういう音楽的なニュアンスがあるんです。だからボーカルの練習をするときでも、単純にピッチがズレているだけじゃなく、自分がイメージしている音に対してズレているかが分かるんです。

金澤 シンセサイザーのようなレンジの広い楽器を演奏するときでもそうです。例えばシンセの超低域を使ってキックの音を作るときでも、どんな種類のキックの音が鳴っているか、ちゃんと判断できるのがスゴいと思います。

ーー理想的なモニターヘッドホンなんですね。

金澤 このヘッドホンをどうやって作ったのか知りたいくらいです。これまでも自分の理想のヘッドホンを探してきたんですが、どこかしらに妥協点があったんです。でも、SRH1540はそれが見当たらない。お世辞抜きにしても素晴らしいです。

山内 これ以上のヘッドホンがあったら聴かせほしいくらいです(笑)。僕もSRH1540より高価なヘッドホンもいくつか持っていますが、現時点ではこれがベストですね。

ーーリスニングではSRH1540にどんなメリットを感じましたか?

山内 今話してきたモニター用としての時代感は関係なしに、昔のアナログ名盤を聴いても良いと思います。例えばジョン・コルトレーンやマイルス・デイヴィスとか金管楽器の“スー”っていう高音すら、音楽的に聴くことできると思います。ダイちゃんはジェイムス・ブレイクを聴いていたよね?

金澤 うん、まずはローがどれくらい出るのかっていう確認のためです。あとはブラッド・メルドーのとある曲で奥行きの表現力を判断するんですが、完璧でしたね。

ーーSRH1540を使うようになって、おふたりの音楽生活において何か変化はありましたか?

山内 ミュージシャンとしては、楽器の音を聴くのがより楽しくなったと思います。例えばとある楽曲を聴いて“こんな演奏がしたい”とか、“こんな風に弾けたらいいな”って思えるのって、最高じゃないですか?なんかね、SRH1540で音楽を聴いていると“弾けそう”って思わせてくれるんですよね。

金澤 音楽がすごく近いところに感じられるんです。これって、よくある“色付け”という次元じゃないと思いますね。

山内 色付けだと、どうしても“これは苦手”っていう人が出てくるんですが、SRH1540は誰とでも仲良くなれるというか、そういう魅力がありますね。

ーーSHUREというブランドのサウンドイメージについて教えてください。

山内 やっぱりクセがない音。僕はいろんなボーカルマイクを試していたんですが、2年前からあらためてSHURE SM58を使っているんです。やっぱり個性のあるマイクって、それに合わせて歌い方もすべてを変えないとダメで。家で歌の練習をするときはSM58を使っていたんですが、個性的なマイクを使っているときはSM58で練習するときと比較したら、”こんな歌い方はよくない”って思う歌い方をしていることに気がついたんです。で、あらためてステージでもSM58で歌ってみたら、めちゃくちゃ良かったんです。

ーー最近では山内さんは、KSM8も使っているんですよね?

山内 はい。最近はアコースティックライブをやるようになって、もっと歌の音量コントロールをシビアにやりたいと思っていたところ、良いマイクがあるよって教えてもらったのがKSM8でした。使ってみたら、近接効果はもちろんですが、普通にマイク自体の音が良くて。SM58、BETA 58Aと比較すると高域が豊かではあるのですが、他のメーカーのマイクと比べたら全然クセはないですね。

金澤 そういったクセのなさが、SHUREの個性だと思いますね。嫌味がなくて音楽的な音だから、スタンダードになれるんだと思います。

山内 うん、僕も家で発声の練習とかするときはSM58を使ったほうが、自然と歌のバランスが良くなるんです。そういうところもクセのなさが繋がっているんだと思います。

 


フジファブリック
2000年に志村正彦を中心に結成。叙情性と普遍性と変態性が見事に一体化したアレンジで人気を集めるが、2009年にフロントマンの志村が急逝。2011年に山内、金澤、加藤慎一の3人での活動継続を発表。山内がヴォーカルを務めるようになり、精力的に活動を続け、2014年には初の日本武道館での公演を成功。今年の2月には山田孝之をゲストに迎えた19thシングル「カンヌの休日 feat. 山田孝之」をリリースした。

 

 

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