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By ShureJapan |  Comment(s)

「アイスランドの音」をレコーディング

ポール・クログネイルにより2016年12月8日に寄稿

アイスランドといえば、まず最初に思い浮かぶのはオーロラではないでしょうか。そして実際に訪れたことがある人ならば、息をのむほど美しい景観と変化に富む気候も記憶に残っていることでしょう。しかしその中で忘れられがちなのは、アイスランドの素晴らしい「音」なのです。

ここでは、アイスランドで音と写真の研究取材を行ったトーマス・ウィング・エヴァンスとマイケル・パーキンスの両氏にお話を伺いました。この研究取材では、Shure MV88とiPhoneを使用してすべての音源が録音されています。お二人のご好意により、その音源もこの記事でシェアさせていただいています(記事の最後をご覧ください)。

この研究取材におけるお二人の役割を教えてください。

トーマス:私たちは二人とも、建築家かつ写真家です。私たちは「探検」が大好きなのですが、ほとんどの場所が行きつくされている現代では「探検」の意味は元来とは少し違ってきます。深い海の底を除いて、未開の場所というのは世界でもほとんど残されていませんからね。ですから私たちにとっては、探検というのはどれだけ人里離れたところに行くかというよりも(もちろんそれはそれで楽しさが増しますが)、ある場所をいかに体験できるかという手法のことを指しているのです。

本研究取材に寄付金を提供したジェームズ・フィリップス基金についてお聞きします。この団体の目指すところは建築業界の若いデザイナーたちに旅する機会を与え、彼らが研究的興味を追求し、その経験を写真や音、映像で記録できるような機会をつくることだとお話しされていました。この基金についてもう少し紹介していただけますか?

トーマス:ジェームズ・フィリップス基金はフィリップス一家によって設立された基金です。一家の息子ジェームズが2014年のチャリティ・マラソン中に突然死症候群で亡くなったことをきっかけに設立されました。建築、写真、そして旅を愛したジェームズの情熱を伝えるこの基金は、これまでにも素晴らしい実績を残しています。私たちの研究取材もこの基金があったからこそ実現することができました。私たちが受賞したトラベル賞は冒険、探検というコンセプトに基づいており、取材の上でも常にそのコンセプトに忠実であるよう努めました。

アイスランドへの旅についてもう少し詳しくお聞かせください。もともと「音」を録音するための旅だったのですか?それとも他にも目的が?

マイケル:私たちのアイスランドの旅は、ジェームズ・フィリップス基金に提示された「移動」というテーマの探求を目的としていました。トーマスと私が提案したのは、アイスランドの多様な景観をつくり、またその中を移動していく氷河の調査研究というものでした。元々は写真撮影を主とした計画だったのですが、実際に行ってみると、このテーマを描くにはサウンドスケープ(音の風景)が欠かせないということに気が付いたのです。

トーマス:そうなんですよ。あれほど美しい音の数々に出会えるとは想像もしていませんでした。アイスランドの景色は本当に素晴らしいですから、あれほど豊かな音の風景もあるということは忘れられがちなのでしょう。ロンドンに戻ってからも考えてみればみるほど、私たちの写真や映像を「感じて」もらうためには音が極めて重要だと気づかされるばかりでした。音こそが今回の作品の異なる要素同士を結びつけるものであり、隅々に織り込まれています。

旅の主な焦点はアイスランドの氷河学で、氷河とそれに大きく影響を受ける環境、文化に光を当てることが目的でした。10日間、一日平均30~35kmを移動し、すべて宿無しで過ごしましたよ。アイスランドの長い日照時間を最大限に生かし、なるべく長く現場で撮影できるように登山用の小型軽量テントを使いました。このような風雨にさらされる遊牧民族的な姿勢は、旅の間あらゆる場面でありましたね。すべての食糧、必要物資、技術機材は自分たちで持ち歩きました。その分、旅を進めるうちにもちろん荷物は軽くなっていきますから、それは良かった点ですね。

なぜアイスランドを目的地として選んだのですか?

マイケル:10日間という日程の中でさまざまな風景を見、探索できるからです。数々の氷河、潟、火山、川、滝がすべて近接している上、その地形が多様な景観をつくっているので、色々な風景を撮影、録音するには最高なんですよ。

トーマス:アイスランドは欠点があまり無いんです。マイケルが言う通り、多様性というのは大きな鍵でした。氷が海にたどり着くまでの状況の移り変わりを物語のように記録することが私たちの目的でしたから。

アイスランドには「今の天気が嫌なら15分待て」という言葉もありますが、この言葉の通りでしたか?

マイケル:天気に関しては概ねラッキーだったといえるでしょうね。確かに天気の移り変わりが早いため、まるで別世界のような光景を見ることができると言われています。火山頂上の氷河を登っていてすごく細かい霧雨が降り始めた時には、黒く固まった溶岩流が雪と氷の間に折り重なっていて、まるで明るいモノクロの世界にいるようでした。

トーマス:まあ、旅の思い出はバラ色に見えるというのもありますけどね!深い霧と雨の中、雪の積もった坂道を上っていた日のことですが、私はとにかく疲れ切っていて、もう暑くて仕方なかったのです。でも雨がひどいからコートのジッパーを開けるわけにもいかず、茹で上がるような苦しい思いをしましたよ。もちろんカメラを取り出す気になんてなれませんでした。でももし撮影していれば、素晴らしい景色が撮れていたことでしょう。霧がかなり濃い日も多く、広大な景観をうまく撮影できないのではと心配でしたが、実際にはその霧がとても独特な雰囲気を作りだし被写体を強く際立たせてくれました。

アイスランドで録音された音は、すべてShure MV88を使用して録音されていますね。旅の中で色々と使ってみた上で、マイクについてどのようなご感想をお持ちですか?

マイケル:これほどこの旅に適したマイクはないでしょう。コンパクトで軽量、使いやすく、録れた音は素晴らしいものでした。カメラを3台も使って色々なところをハイキングして回るわけですから、MV88のようにiPhoneに接続して「録音」を押すだけで見事に機能するマイクほどありがたい機材はありませんよ。

トーマス:このマイクには相応しい誉め言葉が見つからないほどです。どんな状況にあっても頼りにできた機材はこれだけでした。標高の高い場所では凍える寒さの中マイケルのカメラが動かなくなってしまいましたし、ボートに乗って氷山を撮影していた時には私のレンズは湯気で曇ってしまって大変でした。アクションカメラに至っては、大切な瞬間に必ず充電が切れるという始末でした。でもこんな状況の中、晴れだろうが雨だろうが、iPhoneに接続するだけで必ず動作してくれたのがこのマイクでしたよ。

Shure MOTIVアプリも使用されたそうですが、どのように使用したのか教えていただけますか?

マイケル:旅の途中音源同士が被る場所もかなりあったので、ステレオ幅を調整してそれぞれの音を分離できるのは非常に役立ちました。火山頂上の高原にいるときや、氷河湖の氷山の間をボートで飛ぶようにすり抜けているときなどは、ウィンドノイズリダクション設定も便利でしたね。本当に、マイクゲインを調節できるという機能だけをとっても、微細な音まできちんと録音できるようになり録音の質が大きく上がります。

トーマス:マイク自体の作りも非常に良いんですが、ウィンドジャマーや、ソフトウェアにウィンドノイズリダクション機能があるのもありがたいです。余計なヒス音に悩まされなくて済みますからね。私たちは重い機材をたくさん運んでいましたから一眼レフ用のショットガンマイクなどはあきらめざるを得ず、でもカメラ内蔵のマイクでは音質的に充分とは言えませんでした。でもMOTIVアプリのおかげで、撮影内容に合わせて設定を調整することにより、必要な音だけにフォーカスしたり、ステレオ幅を広げて収録したりすることができました。

MV88を今後、他の取材や研究に使用する可能性はありますか?

マイケル:もちろんです!コンパクトで素晴らしい録音ができるマイクですからね。研究旅行以外にも、もっと普段から使用するつもりです。

トーマス:同感です。僕たちにとっては非常に頼れるマイクですからね。

お二人の作品を何度か聞かせていただきましたが、特に「ぶくぶく音を立てる地熱噴出孔」の音はこの世のものとは思えませんね。このコレクションの中で、お二人のお気に入りはどれですか?

マイケル:特にいい音が録れたなと思うものはいくつかありますが、自分で聞いて楽しいと思うのは、氷河湖ヨークルスアゥルロゥンで録音した、氷山から溶けた小さな流氷がボートのへさきに当たる音です。氷河湖は景色も素晴らしいところですが、小さな流氷が密集する中をボートで進んでいくとあまりにも良い音がするので、すぐにMV88を取り出してしまいましたよ。

トーマス:そうですね、ボートのへさきの下で流氷が割れて砕ける音は素晴らしかったですよ。僕のお気に入りは、細い氷河に沿って流れる水が氷河の深い割れ目に流れ落ちていく音ですね。中にはとても深い割れ目もあって、氷の塊を投げ入れても底に当たる音が聞こえないんです。そんなところに水が流れ落ちていく音は、反響しあうエコーがまるでバイオリンのようなハミングを作り出して、信じられないほど良い音がするのですよ。

このような旅をまた行う予定はありますか?

マイケル:はい、すでに計画中です。

トーマス:今はロンドンでの展示会用に映像や音声、写真などを編集しているところですが、その後には次の旅を企画するつもりです。ぜひ期待していてください。

トーマスとマイケルがアイスランドで収録した素晴らしい音の数々は、MV88で屋外録音という、忘れられがちな使い方の好例となっています。iPhoneとMV88マイクロホンだけで得られる素晴らしい音質を、ぜひ下記のリンクから体験してください。

注記:すべてのサウンドはMV88で収録したままであり、マスタリングなし、アディショナルのコンプ、リバーブ、EQも使用していません。
アイスランドの写真はすべて、トーマスとマイケルのご好意により許可を得て掲載しています。

サウンドは下記のリンクから試聴できます。

Shure MV88マイクロホンの詳細はこちらをクリックしてください。

トーマスとマイケルが予定している展示会について、最新情報や写真などはインスタグラムで@wingevansおよび@michaelperkins_ を検索してご覧いただけます。

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